廃業したガソリンスタンドがそのままになっている理由

GS メンテナンス
https://www.youtube.com/watch?v=9qSBNnnoDkM

廃墟と化したガソリンスタンド

西暦1994年(平成6年)ガソリンスタンドの数が6万件を超えピークだった。

1994年といえば関西国際空港が開港した年
その翌年の1995年には「阪神淡路大震災」・「オーム真理教事件」が大きな事件でしたから現在30歳以上の方なら記憶に残っていると思います。

ガソリンスタンドの数は2019年には3万件を切ったので、この30年間で半分以上が減ったことになります。

ガソリン満タンで考えられないサービス!

今では考えられない
ガソリンスタンドで給油すると様々なサービスがありました。

若いスタッフ数人がハッピを来て歩道で走行中の車両に向かって旗を振って呼び込みをしていた

ガソリン満タンでティシュケース5個入り1パックプレゼント!
ガソリン満タンで洗車サービス!

いまでは考えられないほどのサービスでした。
それほど儲かる業種でした。

今ではガソリンスタンドは儲からない

ガソリンスタンドの経営は大変です。

まず引火しやすいガソリンを取り扱っており、従業員には危険物取扱者の国家資格が必要だったり、消防法や給油機の計量検査など人件費は掛かるし、その他の経費も掛かる業種です。

ガソリン価格の半分が税金

ガソリン価格には53.8円の税金が掛かっており、販売価格の合計に消費税10%が上乗せされているので、ガソリン価格の半分が税金なのです。

税金に税金が掛かっている二重課税問題

税金に税金は掛からないという原則に反してガソリン税と石油税に対して消費税が掛かっており、何度も問題視されているのに放置状態(笑)

環境に優しい低燃費車の普及

1997年トヨタ自動車が数十年の開発期間を経て夢の車である電気とガソリンで動くハイブリッド車であるプリウスが発売。

原油価格は2004年頃から上昇しはじめ、2008年には原油1バーレルが147ドルと最高値となり、これに連動してガソリン価格が急上昇!
レギュラーガソリンが1リットル当たり200円を目前まで高騰しました。
※2020年6月現在で原油価格は40ドル程度 レギュラーガソリン平均価格122円程度

これにより自動車メーカーの低燃費競争が激化
カタログ上の低燃費数値が車の売れ行きを大きく左右するほどに・・・。

車に興味を持たない若者の増加

それに加え、スマートフォンやテレビゲームの普及や非正規雇用が増え、若者の車離れが顕著になり、低燃費で燃料が売れない・車を持たない・車に興味を持たない社会へと時代が動きました。

多くのガソリンスタンドが潰れた原因

西暦1994年(平成6年)ガソリンスタンドの数が6万件を超えピークだった頃は個人が給油するには現金決済が当たり前の時代でした。

ガソリンスタンドはガソリンを仕入れ、仕入れ先に支払い代金を支払うまでのタイムラグがあるので、個人にガソリンを給油すればするほどキャッシュが手元に残り、経営的に楽だったのです。

当時はクレジット決済なんて皆無に等しかったため、法人など大手の取引先に売掛でガソリンや運送会社に軽油を販売していましたが、倒産して売掛金が入らなくなると、仕入れ先への支払いが滞り、結果的には他社の税金まで返さないといけない羽目になっていました。

2010年6月の消防法改正が廃業を加速

2010年6月に消防法が改正され、ガソリンスタンドの地下に埋まっている地下タンクが埋設後40~50年を経過したタンクは繊維強化プラスチック(FRP)で加工するか、地下に電極を埋め込み、電流を流すことで腐食を防止することが義務付けられました。

薄利のガソリンスタンドには改修する体力がない

埋設された地下タンクを取り換えるのが一番手っ取り早い方法ですが、薄利のガソリンスタンドには消防法に適合する設備には改修できません。

これにより、30年間で半数が減った大きな理由です。

ガソリンスタンドがそのままになっているのは?

ガソリンスタンドは廃業すると廃業届を提出しなければなりません。

廃業届を受理できる条件とは、地下に埋設された地下タンクが再利用できないように砂を入れて再使用できないようにしなければならないのです。

地震や火事にはガソリンスタンドに逃げ込め!

大きな地震や火災が発生するとガソリンスタンドに逃げ込め!

と言われるように、ガソリンスタンドは消防法でがんじがらめの基準をクリアした安全な施設なのです。

ガソリンスタンドを廃業して土地を売りたいが、埋設した地下タンクを掘り起こすのも莫大なお金が掛かり、土地を売るにもガソリンという汚染の原因となるものを貯蔵していたこともあり、汚染されていない証明の調査や万が一汚染されていた場合に汚染物質を除去する費用も莫大なのです。

地下にタンクが埋設されているから厄介

地下にタンクが埋設されているため、ガソリンスタンド跡地に何かを建設したくても地下にタンクがあるために除去するまで何も建てることができない。
建築基準法に抵触してしまう。

ガソリンスタンドが廃業すると、地下にタンクは埋まっているが砂を入れて使えない状態だからそのままの状態で放置するか、そのままの状態で中古車販売店などに貸したりする以外に方法が無いのが大きな理由です。

継続するのも苦・廃業するのも苦・放置するのも苦

継続するのも苦

ガソリンスタンドがこの先も経営し続けようとすると販売価格を下げないと競合に勝てません。

ガソリン販売価格を下げようとすると、人件費の掛からないセルフ方式でないとイニシャルコストが下がらない。
セルフ方式に変更しようとすると、莫大な投資資金が無ければ改修はできない。

廃業するのも苦

廃業するのにもある程度の費用は掛かります。
また廃業=他の仕事が無ければ無収入

放置するのも苦

投資資金が捻出できなければそのままの状態で放置することになりますが、土地と建物は廃業しても所有している間は固定資産税だけが掛かり続ける。

継続するのも苦・廃業するのも苦・放置するのも苦

三重苦の状態なのです。

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